企業研修60分プラン「相手の世界を体験する」
講義で「多様性が大事」と聞くのと、70代の耳で自分の声を聞くのとでは、残るものが違います。このプランは前半30分で「体験」、後半30分で「自社の現場に引きつけて配慮を考える」構成です。
事前準備: 案内メールに「スマホとイヤホンを持参」と書いておく。可能なら事前課題としてBig Five 性格診断(約10分)を済ませておいてもらうと、後半の話が「感覚の違い」から「内面の違い」まで広がります。
進行表
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0–5分 | イントロ 「今日はスコアを競う研修ではありません。自分と違う知覚を体験して、明日からの仕事に持ち帰る研修です」と最初に宣言する。これを言うかどうかで参加者の構えが変わります。 |
| 5–20分 | 難聴シミュレーター体験 各自イヤホンを装着し、自分の声を録音して70代・80代の聞こえ方で再生する。職場でよく使うフレーズ(「お会計は1,980円です」など)を録音させると現場に直結します。 体験後、ペアで一言ずつ感想を共有(2分)。 |
| 20–35分 | 色覚・ロービジョンシミュレーター体験 自社の資料・商品・売り場の写真をカメラや画像アップロードで読み込み、P型・D型色覚やロービジョン(緑内障・白内障など)の見え方で確認する。「この資料の赤字強調、見分けられますか?」 |
| 35–50分 | グループワーク「自社の3つの場面」 グループごとに、下のワーク設問について話し合い、模造紙か共有ドキュメントにまとめる。 |
| 50–60分 | 共有とまとめ 各グループ1分で発表。最後に「明日から変えられることを1つ」を各自書いて終了。 |
ワーク設問
- 今日体験した「聞こえ方・見え方」の人が、自社の顧客・同僚にいるとしたら、具体的にどの場面で困りそうか?(3つ挙げる)
- その場面を、お金をかけずに明日から改善できる方法はあるか?
- これまで「不注意」「理解が遅い」と感じていた相手の行動の中に、知覚の違いで説明がつくものはないか?
注意点
参加者の中に当事者がいる前提で進行してください。難聴・色覚特性・ロービジョンの当事者は珍しくありません。「こんな見え方で大変だね」のような哀れみの表現を避け、当事者に説明役を振らないこと。詳しくはファシリテーターガイドを参照してください。
- 難聴体験では音量を上げすぎないよう最初に注意喚起する(耳鳴り音が不快な場合はすぐ外してよいと伝える)
- シミュレーションは「正確な当事者の世界」ではなく近似であること、人によって程度が大きく違うことを一言添える
バリエーション
- 90分版: 事前課題の Big Five 結果をグループで見せ合い(強制しない)、「特性の違う人への仕事の頼み方」を追加ワークに
- 30分版: 体験を難聴シミュレーターのみに絞り、ワーク設問を1問に
- UX研修版: 後半を自社プロダクトの画面を色覚・ロービジョンで確認するヒューリスティック評価に置き換え